漫才師“富士山”vol.3
作・富士


爆笑問題を目標に活動する漫才師"富士山"は、テレビ出演で見事にスベリ地道な営業活動に精を出すのだった・・・

山田  「こんばんは、山田です」
富士田 「富士田です」
山田  「二人合わせて・・・」
富士田 「"山富士"です、よろしく〜」
山田  「いつから"山富士"になったんだよ!」
富士田 「お前が先に山田ですって挨拶したから順番がおかしくなったんだよ」
山田  「挨拶の順番変えたからってコンビ名まで変えるんじゃねぇ!」
富士田 「細かいなぁ」
山田  「細かくねぇよ! コンビ名は大事だろうがっ!」
富士田 「大丈夫だよ。タイトルが"富士山"ってなってるから」
山田  「そういう問題じゃないの!」

富士田 「俺は聞いてないけど最近お笑いの曲が流行ってるらしいね」
山田  「聞いたこと無いの?」
富士田 「ゲッツ、ゲッツ、ゲッツ♪ 佐賀県♪ の歌が流行ってるのなんでだろ〜♪」
山田  「聞いてんじゃねぇか! 十分歌えてるよ!」
富士田 「相当儲かってるんじゃないか?」
山田  「印税とか凄いだろうからなぁ、もしかしたら本職のお笑いより稼いでるかもな」

富士田 「だろーな。だから俺も曲考えてみた」
山田  「すげ〜な。もしかしたら俺らも一躍スターになれるんじゃねぇか?」
富士田 「タイトルは『なんでやろ?』」
山田  「思いっきりパクリじゃねぇか!」
富士田 「そんなこと気にするな。売れたもん勝ちだ」
山田  「著作権の心配もあるし・・・」
富士田 「それはここの支配者が判断してくれるから心配するな」
山田  「支配者は失礼だろっ! 管理人様に対して」
富士田 「それよりも歌詞の内容がちょっとブラックだからそっちの方が心配だな」
山田  「おまえ、また敵を作るつもりかよ。止めたほうがいいんじゃないか?」
富士田 「歌ってみないと分からないから、とにかく歌うぞ」
山田  「もう勝手にしろ!」

富士田 「なんでやろー、なんでやろー、な・な・な・なんでやろー♪」
山田  「プロ野球セ・リーグのなんでやろー」
富士田 「公式戦1回も投げてないのにオールスターのファン投票1位に選ばれたのなんでやろー♪」
山田  「ネット投票って怖いね」
富士田 「獲得した外国人選手がまったく活躍しないのなんでやろー♪」
山田  「レイサムの珍プレーは笑った」
富士田 「成績以外でしか一般に認知されないヤクルトの外国人選手たちなんでやろー♪」
山田  「奥さんが友人の母親・ワニ喰い・プリクラ・アイーン」
富士田 「地味な監督&選手が多いのなんでやろー♪」
山田  「前田の笑顔ってみたことないね」
富士田 「TBSが筆頭株主なのに中継が少ないのなんでやろー♪」
山田  「視聴率取れないから(ぼそっ)」
富士田 「野村監督の時でさえ全然金出さなかったのに星野監督になった途端にメチャメチャ金出したのなんでやろー♪」
山田  「片岡・アリアス・金本・伊良部」
富士田 「どうでもいいことやけれど〜、横浜の佐伯がトラッキーとプロレスするのなんでやろー♪」
山田  「なんでやろー」
富士田 「なんでやろー、なんでやろー、な・な・な・なんでやろっ♪」
山田  「チャッチャ〜ン」

富士田 「・・・・・・ふ〜(満足)」
山田  「・・・・・・(苦笑)」
富士田 「まぁこんな感じだな」
山田  「"こんな感じだな"じゃねぇよ、メチャメチャ敵作る歌じゃねぇか! 歌う前に気付け!」
富士田 「これ読んでくれてる人は心の広い人が多いから大丈夫だろう」
山田  「そうだろうけどさ」
富士田 「よし! この勢いで2番だ」
山田  「なにが"よし!"だ」

富士田 「なんでやろー、なんでやろー、な・な・な・なんでやろー♪」
山田  「テレビ番組のなんでやろー」
富士田 「スマップのメンバー一人しか出てないのに『『ぷっ』すま』『中居正広の金曜日のスマたちへ』なんでやろー♪」
山田  「なんでやろー」
富士田 「イジメに見えるってことで"しりとり侍"は中止になったのに、"スモウライダー"放送してるのなんでやろー♪」
山田  「また中止になっちゃうよ」
富士田 「朝、各局で放送してる占いの順位が番組によってバラバラなのなんでやろー♪」
山田  「牡牛座はいつも順位低いね」
富士田 「好きな漫画のドラマ化がつまらないのなんでやろー♪」
山田  「かなり偏見入ってるな」
富士田 「昔深夜12時で放送終了してたNHK総合が今再放送並べて朝まで放送してるのなんでやろー♪」
山田  「見てる人いるのかな?」
富士田 「『\マネーの虎』にあの人が社長として出てるのなんでやろー♪」
山田  「そんなに稼いでいるの?」
富士田 「どうでもいいことやけれどー、日テレの野球中継が終わった直後に試合が決まるのなんでやろー♪」
山田  「なんでやろー」
富士田 「なんでやろー、なんでやろー、な・な・な・なんでやろっ♪」
山田  「チャッチャ〜ン」

富士田 「続いて最後3番、いくぞ〜」
山田  「勝手にしろ」

富士田 「なんでやろー、なんでやろー、な・な・な・なんでやろー♪」
山田  「エロゲのなんでやろー」
富士田 「最初の発売予定日にほとんど発売されないのなんでやろー♪」
山田  「発売日決まってから発表してほしいよね」
富士田 「ほとんどのゲームが発売されてから修正ファイル出るのなんでやろー♪」
山田  「はっきり言って不良品だよね」
富士田 「制作発表から1年以上経ってるのに今も発売待つ人なんでやろー♪」
山田  「忍耐力には脱帽だね」
富士田 「純愛ゲーがコンシューマーに移植されても成り立ってしまうのなんでやろー♪」
山田  「なんでやろー」
富士田 「漫画でアナ○描いても平気なのにエロゲはダメなのなんでやろー♪」
山田  「例外もあるけどね」
富士田 「エロゲは美少女ゲーとも言うのに、ボーイズラブは美少年ゲーと言わないのなんでやろー♪」
山田  「なんでやろー」
富士田 「どうでもいいことやけれどー、エルフが全然体験版出したりしないのなんでやろー♪」
山田  「なんでやろー」
富士田 「なんでやろー、なんでやろー、な・な・な・なんでやろっ♪」
山田  「チャッチャ〜ン♪」

富士田 「これを引っさげてオリコン1位と紅白狙うぞ!」
山田  「無理に決まってんだろっ! いい加減にしろ!」
二人  「ありがとうございました〜」

今日は東へ明日は西へ。二人の営業活動は続くのだった・・・


−完−


あとがき
富士田 「前回に続いてまた呼び出されていい迷惑だよ」
山田  「周りの反応はともかく、富士が気に入ってるらしいぞ」
富士田 「だからって2回も連続で登場させるなってんだよ。こんなこと考えてる暇があったらストーリーモノの1本でも考えろよ」
山田  「そんなこと言ってやるなよ」
富士田 「まぁ俺は漫才好きだからいいんだけどな」
山田  「いいのかよ! さっきと言ってること違うじゃねぇか!」
富士田 「富士の為を思ってだな・・・」

マネージャー 「ほらっ、次の営業場所に行くぞ!」
富士田 「今日はここに泊りじゃないのかよ?」
マネージャー 「ん〜? なんだその口の利きかたは? おまえ、いつからそんな偉くなったんだ? あぁん?」
富士田 「・・・・・・すいませんでした」
マネージャー 「分かりゃいいんだ。準備が出来たらさっさと行くぞ!」
二人  「・・・分かりました」

富士田 「あの糞マネめ〜。売れたら覚えてろよ!」
山田  「まぁまぁ・・・ とりあえずみなさんに挨拶しないと」

二人  「これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします」