平成・私鉄物語
作・ゆーすけ


世は未だ平成不況真っ只中。
ここにも1つ、不況に喘ぐ企業があった・・・・


「ここのところ急激に業績が悪化しているようだが?」

「先月から導入した女性専用車両の所為かと思われます。
利用客からの理解が今ひとつ得られていない模様で・・・」

「アピールは充分に行っているのかね?」

「それは勿論でございます。なんと言っても、車両全体をピンク色に塗りつぶした上に、
『女、女、女』とでかでかとペイントしています。間違っても男性客は乗れません!」

「・・・女性客も恥ずかしくて乗れないとの話だが?」

「因みに、トイレと間違えて中で用を足した子供が3人。銭湯と間違えて入った老人が1人。
風俗店と間違えて入った男性客10人・・・」

「・・・・アピールの方法に問題があるな。それにしてもココまで経営が悪化する要因とも思えんが?」

「やはり一度に全車両の半分、というところに無理があったのでしょうか?」

「なに?!・・・何故そんな馬鹿なことを!?」

「はい。マーケティング部より『全人類のおよそ半数が女性である』との報告によるものです。」

「まったく・・・マーケティング部はちゃんと仕事しとるのか?
だいたい女性専用以外の車両には女性も乗れるのではないのかね?」

「おお!・・・なるほど。これは盲点でした!それでは早速、残りの車両を全て男性専用に致しましょう。
まず車両全体を真っ青に塗りつぶし・・・・」

「もういい。君はクビだ。」

「ええっ?!そ・・そんな。」

「社長!私に名案があります。」

「ん?なんだね?」

「女性専用車両に代わる画期的なアイディア・・・『痴漢専用車両』です!」

「痴漢専用!?」

「いわゆる逆転の発想と言うやつです。女性専用車両は被害者である女性を隔離しますが、
私が提案するのはその逆・・・加害者である痴漢の方を隔離するのです。」

「・・・考え方は素晴らしいが、言ってることは無茶苦茶だな。いったいどうやって痴漢を見分けるつもりだ?」

「ご心配無く。・・・・・・・さあ、入ってきたまえ。」

「し、しつれいします。」

「ん?何だね、彼女は・・・」

「彼女は柏木元子さん。小学3年生のときに初めて痴漢に遭い、以来15年間毎日痴漢に遭い続けた、
日本一痴漢に好かれる女性です。」

「彼女をエサに痴漢共を釣るわけか?」

「その通りです。更に、車内一面に張り巡らされた粘着シートで1度捕まえた痴漢は決して逃しません。」

「しかし、肝心のエサが痴漢に持ち逃げされてしまったらどうする?」

「ご安心下さい。彼女の保有するH●Vヴィルスで痴漢を巣ごと全滅です!」

「おおっ!それは頼もしい。よし、すぐに彼女のクローンを生産することにしよう!」





「ご覧下さい。痴漢電車がホームに入ってきますよ。」

「おおっ、これはなかなか壮観だな。虚ろな目をした痴漢共がぎゅうぎゅう詰めじゃ。」

「まるでアウシュ●ッツへ連行されるユ●ヤ人のようですな。いっそこのまま事故を装って葬り去りますか?」

「ははは・・・さすがに事故は社のイメージダウンになってしまうから止めておきたまえ。
ん?ところであの隣の車両は・・もしかして女性専用車両ではないのか?」

「はい、折角ですから一両だけ残しておいてみました。」

「しかし、よりによって痴漢専用車両の隣とは・・・・・あ、ほれ、痴漢共がなだれ込んだぞ。」

「ああ・・これは凄まじいですな。まさに乱痴気騒ぎというやつですね。」

「わははははは・・・」

「ははははは・・・ところで社長。さっきから顔色が少々悪いようですが?」

「ごほごほっ・・・ああ、分かるかね?最近どうも風邪をひきやすくて・・・」

「社長もですか?・・・実は私もなんですよ。」

「お互い体には気をつけねばならんな?・・・それはともかく、どうじゃ?今夜あたりまたおねーちゃんでも買いに・・・」

「また・・社長もお若いんだから。」

「わはははは・・がはっげほっ(吐血)」

「ははははは・・・うおぇぇぇっ(嘔吐)」



それから間もなく、この会社は職員全員がエ●ズに感染して倒産した。

END


あとがき
毎度おなじみ『漫才ネタ』シリーズ。

・・・しかし今回は内容がちょっと不謹慎過ぎたかも。(汗)