ネコの王子様
作・ゆーすけ


俺に突然嫁さんが出来た。
何故か突然嫁さんが出来た〜♪


・・・と、これは前やったからいいや。

いや、でもホント歌でも歌いたいくらいの気分なのよね、今。
まさかこんな幸せが向こうから勝手に転がり込んで来るなんて、想像もしてなかったもん。

えーと、そもそもの始まりは今週の月曜日。
今にして思えば、その日は俺の人生において最良の日だった。

その日は朝からついていた。
お茶を入れれば茶柱が立つ。
卵を割れば黄身が2つ。
絶対当たらないと噂の近所の自販機で当たりが出る。
街を歩けば2人組みの女に声を掛けられ・・・
「あなたの幸せを祈らせてください。」
・・・いやいや、これは違った。
とにかく、その日はいい事ばかりだった。

そして仕上げは俺が自宅のアパートに帰宅したときのことだ。
ふと、郵便受けを見ると、差出人不明の怪しい封筒。
日頃より危機管理意識ゼロの俺は、何のお構いも無くその封筒をびりびりと破って開ける。
中から出てきたのは1枚の赤い紙切れ。
ひらひらと舞って足元に落ちる。

もしかして兵隊にでも駆り出されるのか?
或いはメジャー流の解雇通知?
などと、1人でボケのネタを考えながらその紙を拾い上げた。
紙には
『生理が来たよ、ダーリン(はーと)』
と小さく書かれていた。

・・・新手のイタズラ?
「妊娠してなかったよ、安心して」ってことか?
俺、誰か孕ませるようなことしたっけか?
・・・・・・・・。
思いあたる節はない。

まあいいか。
季節の変わり目だし、きっと頭の愉快なお友達が、何気に俺の気を惹こうとしてやったのだろう。
・・・出来ることなら、あまりお近づきになりたくはないが。

そのときは誰かのイタズラだろうと思って、たいして気にもしていなかった。
しかし、実はこれがあの、めくるめく夢のような生活の始まりだったのだ。



**第1章−ネコ耳がやって来た−**

それから4日後のことだった。
いつもの様に、誰も居る筈の無い玄関に向かって元気良く「ただいまー。」と声を掛ける。

?「おかえりなさーい。」

誰も居ない筈の居間から返事が返ってきた。

緊張の汗が背中を伝う。
しまった・・・家を間違えたか?
それとも空き巣?!そう言えば今朝家を出るとき鍵を閉め忘れたような気が・・・

玄関で硬直する俺。

しばらくすると奥の方からどたどたと足音が近づいてくる。

1人じゃない・・・2人、いや3人だ!
こ・・・ころされるぅ!!

俺は嫌な想像をして、がくがくと身を震わせた。

?「わあ、ダーリンだ!おかえりなさーい!」

出てきたのは3人の女の子だった。しかも何故か全員頭にネコ耳をつけている。
そのうちの1人が俺の顔を見るなり、喜んで飛びついてきた。
呆気にとられてなすがままの俺。

「え?・・・なに?」

?「あのね、あたし達、ダーリンのお嫁さんになる為にやって来たんだよ?」

俺の腕の中で少女はくりくりした大きな瞳を輝かせてそう言った。





それから俺は無理矢理居間に連行され、そこで彼女達から、ことの成り行きについて説明を受けた。

要約するとこうだ。

彼女達は日本の何処かにあるという『ねこねこの里』からやって来た『ネコ耳族』の者なのだそうだ。
そしてあろう事か、この俺が『ねこねこの里』の出身者であり、目下唯一のネコ耳族男性なのだと言う。
ネコ耳族の男子は出生率が極端に低く、生まれるとすぐにリストに登録され、
成人すると本人の意思に関係無く協会が決めた配偶者を自動的に割り振られるシステムになっている。
(ついでに補足すると、ネコ耳族の男性はその特徴、ネコ耳・尻尾・手足の肉球等が現れにくく、
見た目は普通の男性と変わらないそうだ。)
しかし、最近ではそういった風習に嫌気が差して里を離れる男が増えている。
俺の親父もそうだったらしく、赤ん坊だった俺を連れて里を逃げ出したのだそうだ。
だが既に俺のことは協会のリストにしっかり記載されており、先ほど俺に抱きついてきた少女
(名前は紗那)はその俺の正式な配偶者として決められていたそうだ。
紗那は物心つく前から俺の妻となるよう言い聞かされており(乱暴に言えば洗脳)、
それが当然のことであり、自分の幸せの全てなのだと思い込んでいる。
一方、あとの2人(やや大人しい方がユウ。性格のキツイ眼鏡の子がミカ。)はというと、
リストで管理されていた旦那様候補がお亡くなりあそばされたそうで、
仕方なく紗那と一緒に俺の厄介になることになったというわけ。
・・・いや、正確には死んではいない。
1人は高齢の為に子種が尽きたということ。もう1人は『精神と肉体の性の不一致』とかいうので、
思い余ってち●ぽ切っちゃったからなんだけどね。
まあどちらにしても、彼等のお陰で俺が美味しい思いが出来るのだから、感謝しなければならない。
いっそ出来ることなら2階級特進くらいは進呈したい程だ。

かくして、俺は突然3人のネコ耳おさな妻の夫になってしまったのである。

ユウ「ところで、紗那ちゃん?旦那様に手紙で連絡はしてなかったの?」

紗那「紗那描いたよ、手紙。」

「ん?ちょっと待てよ・・・それってもしかしてこれのことか?」

俺はポケットからくしゃくしゃに丸めた例の赤い紙切れを取り出した。

紗那「あっ、それそれ!」

「『生理が来た』としか書かれてないのだが?」

紗那「それはね、紗那がお嫁さんに行く準備が出来たよってことなの。」

・・・・・・・・
謎の真相は明らかになった。
余りにしょうもないオチに、出るのは乾いた笑いのみ・・・
この調子だと、紙が赤いのも赤飯から連想して、と言ったところだろう。

・・・・それにしてもコイツ、初潮を迎えたばかりってか?
最初に見たときから幼いなぁとは思ったが、これでは見た目も中身も正真正銘の○学生ではないか。

・・・・・うひ♪
つるぺたネコ耳少女が俺の嫁さん?
結婚→初夜→めくるめく官能の世界・・・ハラショー!!
俺の脳内でペレストロイカ。
自由経済ばんざい!(?)

そのときから俺は1匹の雄となったのだ。ガルル・・・



**第2章−奥様はネコ耳−**

ユウ「それじゃぁ、改めて自己紹介をしようよ。」

俺が一応話を飲み込んである程度落ち着いたのを見計らって、ユウが提案してきた。

紗那「紗那が一番っ!えっとね、えっとね・・・」

さっきから俺の膝の上をしっかりキープしているお姫様が、その提案に手を上げて名乗りをあげる。

紗那「あのね、紗那はね、紗那っていうの。でね、ダーリンのことが大好きなの。
特技はダーリンに甘えることにゃの・・・ふにゅん♪」

そう言って俺の腰にぎゅーと抱きついて、ぷにぷにのほっぺを擦り付けてくる。
いくら刷り込まれているとは言え、会ってすぐの男にこうまで心を許すものだろうか?
・・・まあ悪い気はしないので、どんどん甘えてもらって結構だが。

ユウ「じゃあ、次は私の番ね?」

今度はユウが俺のそばにやって来る。
ユウは俺の右腕をとると、そっと自分の胸に抱きながらほんのりと頬を赤らめつつ自己紹介を始めた。

ユウ「私はユウっていいます。紗那ちゃんのオマケなんですけど、どうか可愛がってくださいね、旦那様。」

一見大人しい子なのかと思っていたのだが、意外に大胆だ。
紗那より幾分膨らみのある胸や、お腹のあたりを俺の体にふにふにと押し付けながら、
微妙に媚びた声音で語りかける。
しかし、その無邪気な笑顔には下心など微塵も感じさせず、全てが自然のままの彼女の姿なのだと思わせる。

さて、早くも両手に花一杯状態の俺がふと顔を上げると、残りの1人ミカと目があった。

「・・・・」

ミカ「えーと・・・その・・・」

なんとなく1人雰囲気に乗り遅れた感じの彼女は、
ぷいっと視線を逸らしながら申し訳程度に俺の左手の指を1本掴んだ。

ミカ「アタシはミカ。成り行きでアンタに世話になることになっちゃたけど・・・まあ、よろしく頼むわ。」

ミカは顔を横に向けたまま、視線だけちらちらとこちらに向けながら挨拶をする。
引っ込み思案というよりは、気が強くて意地っ張り・・・というタイプのようだ。
他の2人のようにベタベタする気にもなれず、かと言ってこのまま仲間外れでは嫌だ・・・
という微妙な心境が、指だけ握るという不思議な行動を彼女に取らせたのかもしれない。
・・・が、それがかえって俺の気を惹いた。

カワイイじゃないか!
紗那やユウの様に素直に好意をぶつけてくるのも良いが、こういう微妙な味付けが男を萌えさせるのだよ。

「うおおっ!かわいいぞ、ミカ!」

だきっ

ミカ「やっ、ちょっと何?・・・離してってば・・・」

んちゅ〜

紗那「ああっ!ミカちゃんずるーい。ダーリン、紗那も、紗那もぉ。」

ミカ「い・・・いきなりなんてことすんのよぉっ!」

がははははっ・・・ケモノの道は一夫多妻!いくぜっ、ハーレムンムン物語!

部屋は今、きっと俺様のネコ耳フェロモンで息苦しい程に満たされていることだろう。
俺は今後の展開に思いを馳せながら、ボルテージを一気に上昇させていった。



**第3章−ネコ耳と晩御飯−**

「ちょっと待て。お前等誰一人家事が出来るやつはいないのか?」

ユウ「うん。」

紗那「にゃ。」

ミカ「・・・手が荒れる。」

なんだそれは?!どこがおさな妻じゃーー!今までなにやってたんだ、
花嫁修業とかないのか?!嫁失格!今すぐクーリングオフしてやるーーー!ノワーーン!

俺の高まったボルテージは涙へと変換され、両目から滝の様に流れ落ちた。

紗那「おー、よちよち・・・泣いちゃダメですにゃー。」

紗那が小さい背をいっぱいに伸ばして俺の頭をなでなでする。

ユウ「ほらほらー、ネコ耳ですよぉー?ふかふかですよぉー?」

ユウが俺の手をとって自分の耳を触らせる。

「・・・ふ、ふかふか・・・・ふにふに・・・・」

紗那「肉球ですにゃー、ぷにぷに?ぷにぷに?」

「おおゥ・・・ぷにぷに・・・ぷにぷにっ!」

ミカ「ホレホレ、尻尾だよー?」

ぱたぱたぱたぱた・・・・

「はうっっ、尻尾つかまーえたー♪」

ミカ「ひゃんっ!」

ふはははは・・・・・ネコ耳LOVE!サイコーじゃん。家事がどおしたよ?そんなものネコ耳の前では無力!

俺の悲しみはほんの通り雨。
雲の切れ間にネコ耳の女神が微笑んでいた。

ミカ「ふにゃぁぁぁぁ・・・どーでもいいから早く尻尾放してよぉ・・・」

そもそも家事なんか今までだって1人でやってたんだし。
かわいい子猫ちゃんがそこに居てくれさえすれば、あとはなーんも要りません。
オシメの世話までしてあげるゼィ!
俺はミカの尻尾をぎゅっと握り締め、声高に宣言する。

ミカ「ひゃうん☆・・・やだぁ、身体にに力が入んない・・・。」

・・・そうか、尻尾は性感帯なのか。・・・ムフッ。(お約束)

「さーて、そんじゃあ張り切ってメシ作るからなー。期待して待ってろよー?」

紗那「はーい。ダーリンのお料理楽しみだにゃー♪」

ユウ「がんばってね、旦那様っ☆」

ミカ「出来たら呼んでね・・・・」

俺は3人の熱い声援に応えるべく意気揚揚と台所に立った。





「やはり猫舌か・・・・・。」

ユウ「ごめんなさい、旦那様・・・」

「いや、仕方ないさ、なんたって猫だもんな。」

紗那「ダーリン、ふぅふぅして食べさせて?」

「こらこら、誰がそこまでするか。冷めたら自分で箸持って食え。」

すると急にミカが俺の傍にやって来た。

ミカ「この手で箸が持てると思って?」

そして何故だか誇らしげに、その大きなヌイグルミのような手を閉じたり開いたりして見せるのだった。

ユウ「えーと・・・フォークかスプーンなら辛うじて使えるんだけど・・・」

一人暮らしの俺の家には、1袋100円の割り箸なら買い置きが山ほどあるが、
フォークやスプーンなんて小洒落たアイテムはない。(あっても1セットくらい)

こりゃあ、近いうちに色々買い揃えにゃあならんな・・・
などと、俺が思案していると、何やら柔らかくて暖かいモノが俺の膝の上にやって来た。

「またお前か・・・・ここはお前の指定席じゃないんだぞ?紗那。」

紗那「ダーリン、あー・・・・ん。」

・・・・・。
人がやんわりと注意しているのに紗那ときたら、餌を待つ雛鳥の如く口を開けて催促してきやがる。

「ほらよ・・・」

しょうがないので、俺は箸で摘んだミートボールを雛鳥の口に放り込んでやった。
皿に盛ってからだいぶ時間が経ったので充分冷めているはずだ。

紗那「ぱく。もぐもぐ・・・・ごくん。ああ〜ん美味しいっ!」

「レトルトだぞ・・・」

ミカ「ねぇ、アタシにも頂戴よ。おなかぺこぺこなんだから・・・」

今度はミカが、わざわざ料理の入った皿を持参して俺の前にちょこんと腰を降ろす。

「・・・・・ほれ。」

その皿から料理を一つ摘んで、熱くないか味見をしてからミカの口に入れてやる。

ミカ「あむ・・・・んぐんぐ・・・こくん。・・・・まあまあね。」

人に食べさせてもらってその態度か?
まったく、もう・・・・・・・・照れ屋さんなんだからぁ♪

ぐきゅるるるるるるるるる・・・・・

ユウ「うるうるうる・・・」

ふと見ると、ユウがテーブルの端をかじりながらお腹を鳴らしている。

隊長!あそこに救助を求めるいたいけな少女が!
ただちに救助に向かわれたし!
ラジャ!!

俺はすかさず適当な料理を持って彼女の元へ駆けつけた。

「はい、『あーん』して?」

ユウ「あー・・・・」

ぽいっ

ユウ「・・・ん。もぐもぐ・・・・。うう・・おいひいよぉ・・・」

隊長!少女の尊い命が救われました。
うむ、ご苦労だった。・・・・・しかし、油断するのはまだ早い。見よ、お前の助けを待つ少女達を!

紗那「紗那もっと欲しいーっ。」

ミカ「ミカも、ミカもーっ。」

・・・・・・・
隊長、やはり自分には荷が重過ぎるであります!
馬鹿モン!弱音を吐くやつがいるか!名誉と誇りに掛けて最後まで戦い抜くのだ!
はっ、申し訳ありませんでした。こうなったらたとえこの命尽きるとも!!

俺は心の中で決意を固めると、右手に箸を握り締め、いざ食卓と言う名の戦場へ・・・





1時間に渡る長き戦いは終わった。

ユウ「はぅー、おなか一杯だよ・・・幸せー。」

ミカ「ああ、食った食った・・・」

紗那「ふにゃぁ・・・紗那なんだか眠くなっちゃったよ。」

愛しのワイフ達はどうやら満足してくれたようだった。
結局、俺の口には殆ど料理は入らなかったが・・・



**第4章−お風呂でネコ耳−**

「さーて、皆さん。お風呂のお時間ですよ。」

ユウ・ミカ・紗那「?」

晩飯の後片付けを終え、風呂にお湯を張った俺は、気合充分で居間に戻ってきた。

ミカ「嫌にテンション高いわね・・・」

何やら身の危険を感じたミカが俺を牽制する。
俺はそれに構うこと無く言い放った。

「さあ、全員服を脱げ!」

ユウ・ミカ・紗那「ええーーーーーーーーー!?」





ガラガラガラ

ミカ「狭いわね・・・」

俺が風呂の戸を開けると、その脇からミカがひょいと顔を覗かす。
胸から下を小さなタオル一枚で隠しただけという、実に官能的な格好だ。

ミカ「どうやってここに4人も入るのよ。」

浴槽は大人2人も入ればいっぱいだ。
必然的に2人ずつ交代で湯船に浸かるようにして、その間に残り2人は体を洗うという形になるだろう。

紗那「紗那いきまーす!」

どぼーんっ

「うわっ・・ぷ。」

紗那は突然浴室に駆け込んで来たかと思うと、そのまま湯船に飛び込んだ。

ミカ「ちょっと、なにすんのよアンタは?!」

紗那「ぷはー、一番風呂♪」

紗那は満足そうに、手で顔をぷるぷると拭う。

ユウ「もうっ・・・紗那ちゃん、ちゃんと掛け湯しないとダメでしょう?」

続いてユウが、手で胸と股間を隠しながら恥ずかしそうに浴室に入ってきた。
緊張の為か白い尻尾があっちへ行ったりこっちへ行ったりと所在無げに動いている。
つーか、やっぱり本物なんだな・・・・
俺は関心して、しばしの間ユウの尻尾に心奪われていた。

紗那「ダーリンのえっち。・・・さっきからユウちゃんのお尻ばっかり見てる。」

「な?!」

湯船に肩まで浸かった紗那がやや膨れっ面で文句を言う。

ユウ「や、やだ・・・」

ざばー、・・・・ざぶんっ

ユウは慌てて掛け湯を済ませ湯船に浸かってしまう。

・・・ま、いっか。俺がスケベなのは事実だし♪

「ほれ、ミカ。突っ立ってないで座れ。」

ミカ「えっ、何で・・・?」

突然自分に注意が向いて動揺するミカ。

「身体を洗ってやるからそこに座れと言ってるんだ。」

ミカ「い、いいわよ、そんなの自分でするから・・・」

「馬鹿かお前は。なんの為にこうして夫婦一緒に風呂に入ってると思ってるんだ。」

俺はボディーソープを手の平で泡立てながらニヤけた顔でミカに言ってやった。

ミカ「だから、一緒に入りたくないって言ったのに・・・」

紗那「往生際が悪いにゃ。せっかくだからダーリンに身体の隅々まで触ってもらうといいにゃん。」

紗那が面白がってミカをからかう。

ユウ「まあ、遅かれ早かれ・・・ね?」

ユウが身も蓋もないフォローをいれる。

ミカ「うう・・・」

ちょこんっ

観念したのかミカが俺に背中を向けて椅子に腰を降ろす。

ミカ「いいっ?絶対に変な所は触んないでよ!」

「よしっ、わかったー!」

ふにゅ

ミカ「ぎゃーー!・・・って、言ってるそばから触んなアホー!!」

俺は早速背中から腕を回してミカの胸を掴んだ。
・・・・・・いや、掴めなかった。

ミカ「や・・・ちょっと、撫でまわさないでよ・・・」

「む・・・胸がないゾ?!」

ぱこーーん(←洗面器殴打)

ミカ「悪かったなぁ!どうせアタシはペチャパイだよ!」

ははは、知っててやってまーす。

紗那「・・・・・ミカちゃん、気持ちいいの?顔赤くなってるよ?」

紗那が湯船から身を乗り出して、興味深々の面持ちでミカに聞く。

ミカ「誰が気持ちいいもんか!・・・んあっ!」

チクビくーりくーり♪

ミカ「や、やめなさいってばっ・・・」

「お?」

・・・なんだコリャ?

ミカ「な、何よ・・・」

ミカの胸を弄っていると、乳首の下の方に何やら引っ掛るものがある。

くりくり・・・

ミカ「や・・・あんっ!」

更に下へ・・・
さわさわ・・・・くりくり

ミカ「あふんっ・・・やぁ・・・ちょっと・・・ん。」

ユウ「や、やだ・・・旦那様ったら・・・」

「ん?」

がばっ

「きゃっ!」

俺はミカの腰を掴むと一気に180度回転させた。

「ひー、ふー、みー、・・・6つ?」

乳首が6つある・・・

まず普通の場所に1つずつ、それからその下にまた2つ。
そのまた下・・・ちょうどアバラの一番下あたりに2つ。
計6つ。

「ネコ耳娘って乳が6つあるのか?」

ユウ「それは・・・個人差があるから・・・2つの子もいれば8つの子もいるし・・・」

「因みにお前はいくつだ?」

ユウ「ふ・・・2つ。」

紗那「紗那も2つだよ。」

「それは多い方がいいのか?それとも少ない方がいいのか?」

ユウ「別にどっちがイイとか、そういうもんでも・・・」

ユウ達と乳首談義に興じていた俺の耳に、不意にミカの震える声が入ってきた。

ミカ「なによ・・・どうせキモチワルイんでしょ!」

わ・・・ミカが泣きそうな顔してる。

「いや、そんなことはないぞ!ミカのおっぱいカワイイよ。」

ミカ「・・・ぐす・・・・」

・・・やべ・・・コンプレックスかぁ?

「よしよしー、ほら泣かないでー、ミカちゃーん?」

必死でなだめる俺。
しかし慰めようとすればする程、本泣き入ってくるミカ。

ミカ「うっ、うっ・・・」

「なんて言うかさ、ほら、・・・お洒落!カッコイイ!来年あたりめっちゃ流行りそうっ!」

ミカ「いいよ・・・別に、慰めてくんなくても・・・ぐすん。」

むぅ・・・完全に拗ねちゃったか。
でもまあ大人しくなったし、今の内に洗っちゃうか。

ごしごしごし・・・・さわさわさわ・・・・
なでなでなで・・・・もみもみもみ・・・・
・・・・・ざばーっ

「はいいっちょあがりー。」

紗那「じゃあ、次は紗那ー。」

無言のまま湯船に浸かるミカ。
それと入れ違いに浴槽から上がる紗那。

紗那「じゃあダーリン、おねがいにゃ♪」

紗那は俺に背を向けて椅子に腰掛けると、何やら帽子のようなものを取り出して頭に被る。

「・・・これ、シャンプーハットか?」

紗那が取り出したのは、子供が頭を洗うときに目に水が入らないようにする為に被るウレタン製の帽子だ。
ただしこのシャンプーハットにはネコの耳の形をした屋根がついている。

ミカ「あんた本当にお子様ねぇ、まだそんなモン使ってんの?」

それを見たミカが先ほどのお返しとばかりに紗那をからかう。
どうやらもう機嫌は直っていたようだ。

紗那「だって、これしないと耳に水が入るんだもん。」

ミカ「伏せればいいでしょ・・・こうやって。」

ミカは頭に生えた猫耳を、穴が下を向くようにして斜め後方に倒してみせた。

紗那「だって紗那、お湯がザバーって掛るときにびっくりして耳が勝手にぴくんって起きちゃうんだもん。」

ミカ「まったく・・・それがだらしないっつーの。」

紗那「なんだよぉ、そう言うミカちゃんだってお風呂に浸かるの苦手なくせに。」

ミカ「そ、それとこれとは別でしょ!アタシは熱いのが嫌いなのよ。」

そう言えばミカのやつ、殆どお湯に浸からずに、浴槽の淵に腰掛けている。
正にカラスの行水というやつだ。

「そうだぞ、ミカ、ユウを見てみろ、さっきからずーと肩まで浸かって・・・え?」

ミカ「・・・頭まで浸かってるみたいだけど?」

ユウ「ぶくぶくぶく・・・・」

「大変だ、ユウが溺れてる!引き上げろ、早く!」

紗那「きゃー!ユウちゃんが溺れたー!」

ミカ「全くもう、世話が焼けるわねぇ。」

ばしゃばしゃ・・・どたどたどた・・・・


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