ヘルミンス〜触手少女〜
作・ゆーすけ
挿絵・社

第一話 第二話 第三話 第四話 第五話 最終話

「ねぇ・・・ママ、パパは今日もお仕事なの?」

「ごめんね、美千留・・・代わりにママと公園で遊ぼうね」

「・・・うんわかった。ミチル良い子にする。
 パパはとっても大事なお仕事してるんだもんね」

「そうよ、パパは正義の味方だから・・・何処かで困ってる人がいたら助けに行ってあげないといけないの」

「それじゃぁね、それじゃぁねっ、・・・もしもミチルがピンチになったときはパパ、ミチルのこと助けに来てくれる?」

「ええ、勿論よ。かわいい美千留の為ですもの、他のどんなことだって放っておいて飛んで来てくれるわ」

「わーい、わーい、パパはミチルのスーパーマンだね♪」

パパ・・・

美千留がピンチのときは地球の何処に居たって、すぐに飛んできてくれるんだよね?

だってパパは美千留のスーパーマンなんだもん・・・




<最終話>


ズルズルズル・・・

触手の戒めがやや緩んだ。
しかし俺は足がすくんでしまい一歩も動くことができない。

美千留がゆっくりと俺に近づいてくる。

「翔ちゃん・・・」

美千留は瞳を潤ませ、うっとりとした表情で俺の名を呼んだ。

「嫌だ・・・寄るな・・・」

しかし俺はそんな美千留の姿に恐怖しか抱かなかった。

上半身は自由になったものの、気づくと足は再び触手によってがっちりと固められ、俺は後ずさることもできなくなっていた。
どうにかそれを振りほどこうと悪戦苦闘しているうちに美千留はもう目の前まで迫っていた。

「そんなこと言わないで・・・
 好きよ・・・愛してるの、翔ちゃん!」

美千留の手が俺の体に伸びる。

「うわぁぁぁっ!!」

俺は咄嗟に手をかざして美千留を振り払おうとした。

「ぎゃっ!」

俺が手を出したと同時に美千留が短い悲鳴を上げた。
見ると美千留は自分の片目を手で押さえて蹲っている。

「ご、ごめん美千留・・・その、わざとじゃないんだ」

俺は慌てて謝った。
どうやら俺の指が美千留の目を突いてしまったようだ。

「酷いよ翔ちゃん・・・
 目・・・痛いよぅ・・・ぅぅ・・・目が・・・目が・・・」

美千留はさっきまでの勢いがまるで嘘の様にポロポロと涙を流しながら体を小さくして震えている。
俺は自分の今置かれている状況も忘れてただ美千留に申し訳ないという気持ちになっていた。

「大丈夫か?美千留・・・
 目、見えるか?」

俺は両手で美千留の背中を抱きながら、精一杯優しく声を掛けた。

「ぅぅ・・・わかんないよ・・・
 痛くて開けらんない・・・」

そう言って美千留が俺の顔を見上げる。
指の間からたらたらと真っ赤な血が垂れていた。

「ごめんっ、ごめんな、美千留。
 俺・・・俺・・・」

俺はどうしたら良いのか分からなくなって、ただひたすらに謝りながら美千留の体をぎゅっと強く抱きしめた。





「あったかい・・・」

美千留は俺の胸の中でポツリとそう呟いた。
目を押さえていた手を放し、両手をゆっくりと俺の背中に回す。

「もういいの・・・許してあげる」

「本当?」

「うん、でも一つだけお願い聞いて?」

「ああ、なんでも言ってくれ」

「キス・・・してほしいの」

美千留がゆっくりと顔を上げ、俺の顔を見詰める。
涙で潤んだ瞳が俺の顔を映し出す。
白い頬に薄っすらと朱がさしていた。

ドクン・・・
心臓が高鳴る。

・・・。
恐怖はまだある。
美千留の姿は紛れも無く怪物だ。
だけれど幼馴染の・・・一人の可愛らしい少女でもある。

美千留・・・
美千留・・・
そう・・・俺は美千留のことが好きだったんだ。
・・・ずっと前から。

「ん・・・」

俺は思い切って美千留の細い肩を抱くと、そのままぐっと自分の方に引き寄せ・・・目を閉じ、そして唇を重ねた。

「んん・・・ん・・・」

美千留が俺の首に腕を絡め、積極的に舌を差し入れてくる。
俺は精一杯の愛情を込めてその舌に自分の舌を絡めた。

「んちゅぅ・・・ちゅ・・・ちゅぶ・・・」

なんだか胸の辺りがじんわりと熱くなってきて頭がクラクラする。

「はぁ・・・ちゅぱ・・・ちゅ・・・ちゅ・・・はっ・・・んん・・・」

徐々に互いの舌と舌の絡み合いは激しさを増し、唾液の量が増え、口の端からぽたぽたと垂れ始める。
しかしそんなことは全く気にはならない。
もっと深く、もっと激しく繋がりたい。
その一心で俺は美千留の唇を貪り続けた。

俺の手が美千留の肩から首へ、そして頬へと移動する。
すべすべした肌がところどころ涙の跡でしっとりと濡れている。

ニチャ・・・

「うっ!」

一瞬左手にどろっとした感触があって俺はぎょっとした。

・・・血だ。
俺がさっき突いてしまった美千留の目から流れ出た血だ。

「ごめんよ・・・さっきは痛かっただろ?」

俺はゆっくりと美千留の髪の毛を撫で付けながら彼女の耳元で囁いた。

「ううん・・・気にしないで。
 私嬉しいの」

「え?」

「だって、翔ちゃんに犯されたんだもの。
 前の穴も後ろの穴も・・・もう他の人に犯されちゃったし・・・
 でもこの右目の穴は翔ちゃんが始めて。
 そう考えたらこの痛みだって処女の証みたいなものよ・・・うふふ」

美千留がうっとりとした表情で語る。
しかし俺はその言葉に背筋がぞっとした。
さっきまでの熱が嘘の様に急激に冷めてゆく。

「ねえ・・・抱いて?
 美千留、翔ちゃんとエッチしたいの。
 最初は前で・・・それからお尻の穴・・・最後はこの右目を翔ちゃんのアレで掻き回してちょうだい!」

「み・・・美千留?」

声が震えていた。
いや、声だけではない。
手も、体もがたがたと震え始めていた。

「ここに翔ちゃんのアレをぶち込まれたらどんな感じがするかしら?
 神経が集まってるから、きっと物凄く痛いでしょうね。
 それに脳に近いから頭の中がグチャグチャになるような感じかも・・・
 ああっ・・・想像しただけでも頭が変になりそうだわ!」

美千留は口の端から涎をダラダラと垂らしながら、熱に浮かされたように何事か呟いている。

やっぱり美千留は普通ではない。
俺の知っている美千留ではない。
・・・異常だ。

「翔ちゃん・・・」

美千留の手がするすると俺のシャツをたくし上げる。

「ああ・・・これが翔ちゃんの胸板・・・」

美千留が俺の胸をまさぐる。
そして自分の頬を押し当てて頬擦りを始めた。

「美千留、待って・・・待ってくれ!」

「嫌よ、もう我慢できないの!
 抱いて!抱いてくれなきゃ嫌!」

美千留が息を荒げて叫ぶ。とたんに俺の体に無数の触手が巻きついてきた。

「うわっ、放せ!・・・くっ!」

俺は勿論抵抗を試みた。しかし触手は今度は俺の両腕をしっかりと捕まえ、ギリギリと締めつけてくる。

「くあっ!腕が・・・」

俺の腕は背中の方へ曲げられ、そのまま可動範囲を超えて捻りあげられる。

「痛い!腕が・・・折れる!!」

鋭い痛みと呼吸の苦しさで一斉に脂汗が噴出る。

「なによ、ちょっとくらい我慢しなさいよ!
 目玉を潰されるのに比べたらこのくらいなんてことないでしょ?!」

美千留がドスの効いた声で俺を脅す。

確かに俺は美千留の目を突いてしまった。
もしかしたらこのまま俺の腕は折られ、目だって潰されてしまうかも知れない。
そう思うと痛みよりも恐怖の方が大きくなってゆく。

「止めて・・・こ、殺さないで・・・」

俺は泣きながら命乞いをしていた。
情けないとかみっともないとか、そういう感情を抱いている余裕は無かった。
ただただ目の前の化け物が恐ろしかった。

「やーねぇ・・・殺したりなんてするわけないじゃないの。
 私はただ翔ちゃんとエッチがしたいだけなの。
 でもさっきみたいに暴れられると困るからちょっとだけおとなしくしてもらうわね」

美千留はそう言って俺の腕を締め上げる触手の力を一段と強くした。

「ぎぃぃっ!!」

激痛が両肩に走る。

ごりっ

そして嫌な音がして肩の関節がはずれた。

「うわぁぁぁぁぁ!」

腕の感覚が無い。
力が全く入らない。
もしかすると腕が引き千切られてしまったのだろうか?
感覚は無いが、ズキズキという激しい痛みだけは信号となって脳へと送られてくる。

「大丈夫、脱臼しただけよ。
 ちゃんと治療すれば元通りになるわ。安心して」

美千留はにっこりと俺に微笑みかける。

「うわぁぁ・・・今すぐ医者に連れてってくれよ!
 腕が・・・腕が変なんだよぉ!!」

「だから大丈夫だってば。私を信用して」

「助けて・・・助けてくれ・・・」

俺は必死で頼んだ。

怖い・・・怖くてたまらない。
殺される。
俺はきっと殺されてしまう。他の皆と同じように・・・
こうやって徐々に体の自由を奪われながら、ジワジワと甚振られ苦しみぬいて殺されてしまうんだ。

「頼む・・・頼むから殺さないでくれ・・・」

「・・・。
 仕方ないわね。じゃぁ痛みを取り除いてあげるわ」

そう言いながら美千留は俺に軽くキスをした。

「ん?!」

その瞬間股の間に何かが擦り付けられた。

「ズボンが邪魔だわ」

美千留はそう呟くと素早く俺のズボンを下ろし始めた。

「や、止めろ!何するんだ?」

「うふっ・・・きもちいいこと♪」

美千留の指が俺のトランクスに掛けられ、ゆっくりとそれがずり下げられてゆく。
そしてその隙間から一本の細い触手が俺の肛門に侵入してきた。

「うわぁっ!」

それはほとんど何の抵抗も無くスルっと俺の肛門に突き刺さり、どんどんと奥へと進入してくる。

「くっ・・・ぐぅ・・・」

「力を抜いて・・・楽にして」

そして美千留はおもむろに俺の股間に顔を埋めた。

「ん・・・んちゅ・・・んんっ・・・じゅる・・・」

「かはっ!」

美千留は俺のペニスを咥えると、すぐさま唾液を絡め激しく舌を動かしはじめた。
同時に俺の腸内に侵入した触手は、中でビクビクと体を波打たせ先端から何かの液体を吐き出した。
俺は何がなんだか分からないうちに美千留の口内で果ててしまっていた。

「んっ・・・く・・・こく・・・」

俺のペニスから迸る精液を美千留は喉を鳴らして飲み下している。

「んっ・・・ん゛ん゛っ・・・ん゛ーっ!・・・んんっ・・・」

突然美千留が口からペニスを放して苦しそうに咳き込んだ。

「・・・はぁ、
 翔ちゃんのすっごく濃いんだもん・・・喉に絡み付いちゃったわ」

そう言いながら美千留はとても満足そうに微笑んだ。

いつの間にか肩の痛みは引いており、代わりに妙な気だるさが全身を支配し、俺はなんだか全てのことがどうでも良く思えてきていた。





おそらく美千留に取り込まれた人間達のものであろう・・・球根のような触手の塊からいくつもの腕が突き出して、それが俺の体を捉えていた。
俺は衣服を全て剥ぎ取られており、股間には掃除機のホースのような蛇腹の触手が吸い付いている。
それはすぐに射精を促すほどの強烈な刺激ではなく、やんわりとした微温湯のような愛撫を絶えず送ってくる。

俺は仰向けに寝かされており、その俺を見下ろすような位置に美千留が居る。
美千留は数本の太い触手が絡み合ってできた椅子のような部分に腰掛け、穏やかな笑みを湛えながら俺を眺めていた。

美千留は自分の足をゆっくりと俺の顔の上に降ろした。
指先から踵まで、それはまるで生まれたての赤ん坊の様に柔らかく、そして微かにヒンヤリと冷たかった。
優しく撫でられたりすると足だというのになんだか非常に気持ちが良い。

「舐めて・・翔ちゃん」

月明かりを背にした美千留の顔は普段よりも尚一層青白く・・・しかしそれだけにどこか幻想的な雰囲気をかもし出していた。
俺は呪文に操られるように、言われたとおり美千留の足に舌を這わせた。
僅かに塩辛いような味が舌をピリッと刺した。
しかし嫌な感じは全くしない。
俺は優しくいたわる様に指先から土踏まず・・・踝と順に舐めていった。
美千留は時折ビクっと足を引っ込める。
自分から『舐めて』と言って置きながらやはり少しくすぐったいのか、美千留の足は中途半端に俺の目の前を行ったり来たりする。
俺はそんな彼女の反応がなんだかとても可愛らしく思えた。

暫くすると美千留は徐々にその感触に慣れ、次第に興奮を覚えるようになってきたのか、俺の顔を撫でる足の動きにも遠慮がなくなってきた。
足の指が俺の口をこじ開け乱暴に中に浸入する。時折爪先が喉の奥に当たる。

「うげっ・・・げほげほっ!」

俺は激しく咳き込んだ。
しかし美千留の足はお構いなしに尚も俺の顔をもみくちゃにする。
唇と歯茎の間に足の指が刺さる。
親指が鼻の穴に入る。
そして目に・・・

「痛っ!」

「あっ!・・・ごめん、翔ちゃん」

美千留が慌てて足を引っ込める。

「・・・。
 ねぇ、翔ちゃん?眼大丈夫?
 痛かった?ごめんね・・・」

わざと・・・じゃないよな?

「でももし目玉が潰れちゃってても安心して・・・
 美千留とお揃いだよ。ふふふ」

美千留はそう言って嬉しそうに笑った。

(そうか、お揃いか・・・それも良いかなぁ・・・)

俺がぼんやりとする頭でそんなことを考えたときである。

「な・・・なんだコレは?!」

突然暗がりの中から声がした。

月明かりに照らされたその人物はどうやら警官のようだった。
手にもった懐中電灯の所為でこちら側からは逆光になってやや判別し難いが・・・

付近の住民が騒ぎを聞きつけて通報でもしたのだろうか?

(・・・もしかして助かるのか?)

少しだけ正気を取り戻した俺はその警官に一縷の望みを託した。

「ねぇ翔ちゃん、中へ入りましょう?
 そろそろ寒くなってきたわ」

美千留が不機嫌そうに呟く。

その声を聞いて警官らしき人物が美千留に問いかける。

「きっ・・・きさま、人間なのか??
 待て、う・・・動くな!!」

暗くて状況が上手く理解できていないようだが、本能的に恐怖を感じるのだろう。
警官の声は明らかに震えていた。

一方美千留はというと・・・警官の存在など気にも留めていない様子で、俺の体を抱えたまま悠然と身を翻し警官に背を向けてその場を去ってしまう。
美千留は触手を器用に操りかなりのスピードで移動する。
後ろで警官が何か叫んでいるようだがもうよく聞き取れなかった。





美千留は校舎をぐるっと周って正面の入り口から内部に侵入した。
巨大な触手をズルズルと引き摺りながら適当な教室にのドアを開けて中に入った。

ズルズルズル・・・ドガッ・・・ガシャン

理科室だ。
床に固定された大きな四角い机が幾つも並んでいる。
美千留はその間を縫うようにして奥へと進んでいく。
途中机の上の器具を触手でなぎ倒しながら・・・

「ほら、翔ちゃん、ここで続きをしましょう?」

美千留は床に触手を敷き詰めてベッドのようにして、その上に俺を寝かせた。
そして上から覆い被さるようにして自分の体を重ねる。

「こういうの騎乗位って言うのかしら?
 うふふ・・・翔ちゃん興奮する?」

一糸纏わぬ姿の美千留が俺の腰に跨っている・・・
これが普通の状況であったなら興奮しないわけがないだろう。
だがこんな状況では正直ちっとも嬉しくない。

「美千留・・・やめてくれ・・・」

「やだ・・・翔ちゃんたら恥ずかしがってるの?
 かわいいっ♪」

美千留は腰を少しだけ浮かせると、自分の指で割れ目を広げ、俺に見せ付けるようにゆっくりと腰を降ろしてゆく。

「ん・・・っはぁ・・・ほら見て、入るよ・・・翔ちゃんのおちんちん」

「あ・・・ああ・・・」

頭の中では恐怖が完全に勝っていて、性的興奮なんて感じている余裕はないはずだった。
だが体の方は必ずしもそうではないようだ。
俺の股間は十分に勃起し、美千留のソコに入る瞬間を今か今かと待ちわびている・・・そういう形容がまさにぴったりの状態だった。

じゅぷっ

「んふぅ・・・」

腰が完全に落ち、俺のモノが美千留の中に埋まると、美千留は気持ち良さそうに鼻を鳴らした。

「じゃぁ動くね。
 翔ちゃんはじっとしていて・・・
 私が気持ち良くしてあげる」

そう言うや否や美千留はゆっくりと腰を動かし始めた





美千留の中は違っていた。
いや・・・何がどう違うのか一言では言い表せないが・・・とにかく違った。
肉のヒダと言うか何か無数の柔らかくて弾力のある突起がペニスに絡み付いてくるのだ。
その一つ一つが考えられない様な複雑な動きをし、想像を絶するような快感を伝えてくる。
しかしそれは、ともすると不快と紙一重かも知れない微妙なラインでもあった。
腐りかけた動物の死骸に棒を突っ込んで掻き回しているような・・・
木のウロや石の下に蟻やムカデの巣を見つけたときのような・・・
そんな背筋をゾロリと舐め上げられるような感覚にも近い。
もう何度も射精したような気がするのに、俺のペニスは嘗て無い程の硬度と大きさを依然として保ち、痺れるような痒いような・・・
寧ろまだまだ全然物足りないと言わんばかりの状態であった。
俺は自ら腰を振り、美千留の細い体を壊れんばかりに突き上げ続けた。

「ああっ、ダメ・・・私もうイっちゃう!」

すると突然美千留の腹に大きな出来物の様な物が現れ、中央から黄色いドロっとした液体を僅かに滲ませた。
それはツーンと鼻を突く嫌な匂いがしたが、俺はもうその程度では動じなかった。
気をやるときの美千留の表情が何とも言えず興奮させられるものだったからだ。
俺はもっと美千留のその顔が見たくて、目の前のその出来物を前歯で挟み軽く刮いでみた。

「ひゃひぃぃぃっ!・・・き・・・あ・・・ダメ・・・ふくっ」

そのとたん美千留は大きく背を反らし、白目を向いて体をビクビクと痙攣させた。
その痙攣に合わせるように出来物は中から膿のようなものを勢い良く吹き上げる。

「い・・いっちゃ・・・いっちゃう・・・また・・・あ・・・」

俺のペニスが刺さったままの美千留の秘裂がぴゅぴゅっと盛大に潮を吹いた。
美千留の首から胸、そしてお腹の辺りがパッと桜色に染まる。

俺は膣内の愛液を全て掻き出すくらいのつもりで更に激しく下から突き上げた。

「ひぃっ・・・やめ・・・おかしくなっちゃ・・・ぅう!」

俺は体を起こし目の前の美千留の乳首を口に含むと、硬くしこった乳首を歯の間でコリコリと強めにしごいた。

「あひっ・・・はっ・・・ああっ・・・」

びゅっ・・・びゅっ・・・びゅうっ

更に大量の愛液が割れ目から迸る。

「もうだめ・・・ホントに死んじゃう・・・」

美千留が息を荒げて俺に許しを請う。

しかし俺もそこが限界だった・・・

「くあ・・・!」

俺は美千留の中に思いっきり白濁を解き放った。





「ここか?
 ・・・くそっ、開かない!」

教室の戸がガタガタと音を立てて揺れている。

「くっ・・・でいっ!!」

バターン

掛け声と共に戸が破られた。

「警察だ、おとなしくしろ!!」

先程の警官だ。
拳銃を構えて部屋に入ってくる。

シュルシュルシュル・・・

美千留の触手が床を這い回る。

「な・・・何だ?これは!!」

警官はそれを見て思わす後ずさる。

「・・・お父さん?
 お父さんなの?
 美千留を助けにきてくれたの?」

銃を構える警官を見て美千留が口を開いた。

「何を言っているんだ、この化け物!」

シュルル・・・

一本の触手が警官目掛けて伸びる。

「うわぁっ!」

思わずその触手に向けて警官が発砲する。

パンッ

乾いた音が室内に響き渡る。
同時に硝煙の匂いがツンと漂ってきた。

「痛っ」

見事弾は触手に命中。
美千留の悲鳴と共に、打ち抜かれた触手が黒い体液を撒き散らしながらのたうちまわる。

「お父さん・・・お父さんは美千留を助けにきてくれたんじゃないの?
 どうしてこんな酷いことするの?
 美千留がピンチになったら助けに来てくれるって・・・約束したよね?
 お父さんは美千留のスーパーマンなんでしょ?」

そう言えば美千留の親父さんは刑事さんだったな・・・
でも目の前の警官は明らかに別人。

「美千留・・・」

美千留の目はその警官を見てはいなかった。
ドロっと濁った目が目の前の虚空を見つめている。
あるいは心の中の父親を見ているのだろうか?

「どうして美千留に酷いことをするの?
 悪いやつらはもう美千留がやっつけちゃったよ。
 お外で寝てるから今のうちに逮捕しちゃってよ」

「・・・外の学生を殺したのはお前だな?
 殺人及び器物破損・・・」

ブンッ

警官が口上を述べている隙に美千留の触手は唸りを上げて彼に襲いかかった。

「何言ってんのよ!!わけわかんない!」

バシッ

触手の一撃は警官の体を直撃した。

「ぐわっ」

警官の体が粘土細工の人形のように崩れ落ちる。

ガタン!
ガラガラガラ・・・ガシャン!
パリン

触手が暴れまわり机をひっくり返す。

「何でよっ!何で美千留の言うことを聞いてくれないの?
 お父さんの馬鹿!」

怒り狂った美千留は辺りの物を手当たり次第に壊しまくる。
と言っても普通の暴れようでは無い。
何せ力が桁違いである。
コンクリートの床に穴が開き、窓枠が歪み、重さ数百キロもありそうな大きな机が宙に舞うのだ。

ガンッ!
バキ
グシャ
ドガガ・・・

「ぐわっ」

必死で床を這いずり回って逃げていた警官がついに触手に捕まってしまった。
首に巻きついた触手がそのまま警官の体を宙に浮かす。
警官は首の触手を外そうとしてもがくが、ときすでに遅しだ。
一度捕まってしまえばもう人間の力ではどうすることもできないことを俺は身をもって知っているのだ。

それにしても先程から一つ気になっていることがある。

何だ?この匂いは・・・
嗅いだことのあるような気がするのだが・・・
えーと・・・

「くそっ・・・放せ・・・この化け物がぁっ!」

警官が銃の引き金に指を掛ける。
関心した。流石と言うか何と言うか・・・
拳銃は手放していなかったのだ。
しかし・・・

「撃ってみなさいよ!」

「ぐ・・・ぐぉぉぉぉ!!!」

ガスだ!
どこかからガスが漏れてるんだ!

「ダメだ!撃つんじゃない!!」

パンッ

暗闇の中に一瞬だけ真っ白な光が弾けた。

ドッ・・・・

教室内に立ち込めたガスが一気に燃焼する。

ガシャーン

窓ガラスが吹き飛ぶ音だろうか?
激しい爆音と爆風、そして強烈な熱が俺の体を襲う。
耳がキーンと鳴ってそれっきり聴覚が無くなる。

(死ぬのか?・・・今度こそ・・・)

遠ざかる意識の中で俺が死を覚悟したそのときだった。
何かが俺の上に覆いかぶさってきた。

「・・・美千留?
 美千留なのか?」

そう言ったつもりなのだが耳が聞こえないので自分が何を言ったのか分からない。
しかし美千留の気配が確かにある。

「・・・」

美千留が何か言っている。

「聞こえないんだ・・・耳が・・・」

俺の周りに何かが集まってくる。
そしてそれが俺の体をすっぽりと包み込んだ。
触手で作った即席のシェルターだろうか?

(美千留・・・お前、俺を守ってくれるのか?)

ポツリ・・・

俺の頬に雫が落ちた。

「(翔ちゃん・・・好きよ)」

「美千留?」

真っ暗で何も見えなかった。
酷い耳鳴りがして何も聞き取れなかった。
だけど美千留は確かにそう言ったような気がした。

(美千留・・・美千留っ!
 どこに居るんだ?
 美千留!)

手探りで美千留を探そうと思ったが、生憎腕は言うことを聞いてはくれない。
俺の両目からはいつしかポロポロと大粒の涙が零れていた。



<エピローグ>

「美千留・・・」

美千留の墓前に立って手を合わせる。
彼女が流した最後の涙。
その感触は今でもはっきりと憶えている。

暖かかった。
そして悲しかった。
強く抱きしめてやりたかった。
優しく慰めてやりたかった。
「好きだよ」・・・って伝えたかった。

俺は信じられないことに肩の脱臼以外は無傷で救出された。
火傷も無いし、ガスも殆ど吸っていなかった。
現場から少しだけ離れたところで倒れているところを、駆けつけた救急隊員に助けられたそうだ。
そして俺の他に唯一助かったのが・・・

「ごめん・・・待たせちゃったね。
 お墓参りは済んだから・・・じゃ、行こうか?早苗」

死んだと思っていた。
だが彼女は奇跡的に一命を取り留めていたのだ。
しかし彼女は全身に酷い火傷を負ってしまい、未だに包帯をとることができない。
しかもあの事件以来精神を病んでしまい、まともに会話をすることさえできなくなってしまっていた。

が、それでも彼女は生きているのだ。
あの大惨事を俺と共に生き延びた。
ここに生きている・・・これを奇跡と言わずしてなんと言うのだ。

しかも驚いたことに彼女の胎内には今新しい生命が宿っているのだ。
父親は多分俺だ。
確かにあの時は外に出したつもりだった。
が、絶対に妊娠する可能性が無いとも言い切れない。
実際に早苗はこうして妊娠しているのだから・・・

妊娠の事実が判ったとき両親は迷わず中絶を選んだ。
だがその話を聞いたとたん、それまで何の反応も示さなかった早苗が急に暴れだしたのだ。

「あああ、あかちゃん・・・あかちゃん!私のあかちゃん殺さないでー!!」

彼女はボロボロで動かすこともままならないような身体で必死に母親にすがりついたのだ。

子供は産ませることにした。
この赤ん坊がもしかしたら彼女の精神の回復のカギになるかもしれないと、俺はそう考えたのだ。
だが早苗の両親はそれでも考えを変えようとはしなかった。
彼らは早苗のことよりも世間体の方がよっぽど大事なのだ。
娘がこんな事件に巻き込まれ精神を患ってしまった上にこの歳で子供を持つなどというのが許せないらしい。
しかし彼女が子供を産むことに賛成してくれた人物が居た。
早苗の祖母だ。
彼女はだいぶ前から体調を悪くして入院していたらしいのだが、早苗の様子を見て子供を産ませることを両親に強く勧めてくれた。
最終的に早苗の両親を説得しきれたのは彼女の功績が大きい。
しかしその祖母も数日前に亡くなってしまった。
元気な赤ん坊の姿を見せてあげられなかったのが残念でならない。

俺は事件以来こうして事あるごとに早苗を車椅子に乗せて外に連れ出してやっている。
もしかしたら自然に触れることで回復が早まるかもしれないと思ったからだ。

俺は彼女と結婚するつもりだ。
今すぐには無理かもしれないけど・・・でもいつか絶対に彼女を幸せにしてみせる。
勿論お腹の子も引き取る。
俺の子だったとしても、万が一そうでなかったとしても・・・だ。

「なあ、早苗。何か食べたいものはないか?」

俺は早苗に話し掛ける。
返事が返ってきたことはない。
だがそれでも話し掛ける。
何でも良い。反応を示すまでとにかく根気よく色々なことを話し掛けてやるのだ。

「・・・・・・・」

「ん?何か言ったか?早苗」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・」

「ぐちゅ・・・・じゅっ・・・・じゅるる・・・ちゅる・・ちゅるる」

俺の話しかけた言葉に反応したのかと思って彼女の顔に耳を近づけてみたのだが・・・どうやら違ったようだ。
早苗は口の中に溜めた唾をじゅるじゅると鳴らしているだけだった。
これは彼女が最近になってよくするようになったおかしな癖だ。

最初は止めさせようかと思ったのだが、彼女がこれをするとき何故かとても優しい顔になってお腹をさするのだ。
一瞬正気に戻ったのかと錯覚するほどにそのときの彼女の目は生き生きとしている。

「じゅる・・・ちゅるる・・・・ちゅ」

あかちゃん・・・私のカワイイあかちゃん。
早く大きくなって私に顔を見せてちょうだい。

・・・そんなことをお腹のあかちゃんに語りかけているのだろうか。





END



あとがき
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
たいした内容でもないのにずるずると1年以上もかかってしまいましたが、なんとか完結させることができました。
官能小説(?)としてはかなり特殊なシチュエーションの作品であったにも関わらず、予想外の反響があり大変励まされました。

思えばコメディー以外の作品はこれが始めてだったわけですね・・・
作風の幅が広がったという意味でも自分にとって意味のある作品であったと思います。

さて、それでは最後に各話の解説を少々。

第一話
寄生虫と拒食症をモチーフにして新しい触手モノを・・・と思って連載を始めました。
勉強不足と言うか技量不足と言うか、結局その後の展開でこの設定が全く活きていません。

第二話
触手少女のオナニーシーン。この作品の中で最も描きたかったシーンの一つでした。
表現の中に食べ物に関するものが多いのは美千留の食べ物に対するある種の執着の表れだったりします。

第三話
翔太の行動が仇になって美千留が窮地に陥る・・・というシチュエーションを二人それぞれの視点から描いてみました。
作中での時間を前後させてみたりとか演出面で色々試みています。

第四話
早苗をクローズアップ。
これと言って何か書きたいものがあったわけでも無く、単なる話の繋ぎになってしまいました。
結構間が開いてしまったので、僕自身のリハビリという形に・・・

第五話
覚醒(?)した美千留が大暴れする話です。
ここでは触手による物理的な陵辱よりも言葉による責めをメインに置いています。

第六話
男が触手に陵辱されるシナリオです。
ここでのエロシーンは本当はもっとゆっくり描きたかった部分なんですが・・・
他の企画が忙しくなってきたので、少し急ぎ足での完結となってしまいました。
残念です。

以上、蛇足でした。